すずママ談話室

ここはすずママの刺繍工房の片隅にある「談話室」。 (談話室って、少しなつかしい響き・・??)
ここでは、モノづくりのこぼれ話や、モノにまつわるとっておきの思い出エピソードをご紹介します。
読んだらあなたもモノづくりがしてみたくなる・・・かも!?
さあ、お茶を片手にごゆるりと、すずママのおしゃべりをお楽しみください。

エピソード2

天国からのプレゼント。

花嫁さんの、手づくりウェディング。

かつて、私のお仕事のパートナーでもあった、ダンナさん。

彼は某刺繍会社の営業マンで、私はその仕入れ先の刺繍職人。
ダンナさんが刺繍のお仕事を持ち帰ってきて、私が作る。
それが日常でした。

これは、私たちが結婚して、そろそろ一年が経とうとしていたころのこと。

「この仕事ええやろ?!」
「好きそじゃない??」

そう言ってダンナさんが持って帰って来た仕事は、
ANNA SUI」さんのgoodsのお仕事だった。

企画書を見てみると、ダンナさんの言った通り、私好みのとっても可愛い柄。
やりがいのある仕事で、私たちは張り切った。

そんなお仕事が製品化となり、最初の試作品が出来上がった。

企画書の段階でも可愛かったこのお財布・・・

「お店に並ぶ日が楽しみだね!」

夫婦でそんな会話をしては、幸せな気持ちになった。

その後も試作を繰り返し、2009年8月についに発売へ。

新宿伊勢丹のグッズ売場に並んだ、3型のお財布。

感無量で眺める、私たち二人。

「どれが欲しいん?」

メーカーさんから直接仕入れてあげるから、とダンナさんが言うので、
私がねだったのは、

ANNASUIお財布1

と、

ANNASUIお財布2

の2つ。

お財布と同じシリーズのポーチも3~4型、
翌月の9月に発売することが決まっていたので、
それも絶対使いたい!と楽しみにしてた。

ANNASUIポーチ



9月のある日。

私が娘と買い物へ出かけている時、ダンナさんからメールが入った。

「出かけとんか???」
「ANNASUIの財布、テーブルに置いといた。」

私の喜ぶ顔が見たくて、
お財布受け取ってすぐ、お昼休みに家まで帰って届けてくれてた・・・・。




なのに。



その翌日、ダンナさんは天国へ旅立った。



最後のプレゼント。

だったのだろうか。

まさか帰って来ないなんて、想像も出来なかった。


ダンナさんが天国に旅立ってからは、
まだ5ヶ月の幼すぎる娘を抱えて、怒涛の日々。

10月、家族3人で暮らしていたマンションから引っ越すことが決まり、
業者に荷物を預け、私は娘と二人、東京駅へ向かった。

最後の東京駅。

その時、ダンナさんの会社から電話がかかってきたことを、鮮明に覚えてる。

「○○さん(私)、先程、ANNA SUIの方がお見えになって・・・。
『以前に○○さん(ダンナさん)が、
"このポーチ出来たら奥さんにプレゼントしたいから、取っといてやー"って、
嬉しそうにお話しされてたので、ぜひこれを奥様へ届けたいのですが、
お願い出来ますか?』
と、ポーチを持って来てくださったんです。
このポーチ、お引っ越し先へ送らせていただいてもいいですか? 」


東京駅で、新幹線の中で、
何度も泣き崩れそうになったのを、
今でも思い出す。

それはたしかに私が欲しがっていたもので、間違いなかった。

だけど、それがまさか・・・・
天国からの贈り物になり、
そして、そんな形できちんと想いが通じ、届くなんて・・・・・・。

ANNASUIポーチ

お財布もポーチも、今でも我が家に大切に飾ってある。

いつか、娘が使いたいと願ったとき、
大切に使うように教えてあげたいと思う。

そのときが、パパから娘への、最初のプレゼントになるのだろう。

刺繍

刺繍

素敵なプレゼントをありがとう。

どんな豪華なプレゼントよりも心のこもった、
最高のプレゼントです。

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